手術をして痔とオサラバした私は幸せでした。
なんてったって30年もあった痔核が3つ全てなくなったのですから。サバサバすっきり、清々しいことこのうえない。
初日は血がダラダラ流れましたが、生理と似たようなものだと気軽に考えました。翌日は単発の物流バイトに登録したりして、私は自由になったのだと人生を謳歌したものです。
まさかそれどころではない事態になるとは…。
次の日のトイレ、ウンコさんが出ようとした時のことです。
思わず叫びました。
うぎゃあああああああああ
ええ、叫ばざるを得ないのです。
こんな痛み、はじめてです。
痛みは便の動きと連動してます。ウンコを止めようとしましたが、一度出ようとしたウンコは止まるわけがありません。
一気に出たウンコさんは、今までのウサギ糞とは違います。手術あとの血に染まってはいましたが、バナナ状で大きく一気に出ました。
その姿が痔を手術したかいがあったという理想的な便なのです。が、その痛みといったら。。。大のオトナが叫んでしまうのです。
フランシスベーコン…これってトイレにいて痔に苦しんでる絵なんじゃないか。
冷静に考えたら、尻は肉塊を3つ取ったんです。スッキリと通り道が出来たとはいえ、傷が剥き出し。
物理的にまさに刀傷を抱えているようなものです。あとで知ったのですが、肛門は通常の手術のように糸で縫って安静にはできません。なんてったって毎日ウンコを通さなくてはいけないのだから。
だから、傷はそのまま、浸出液と血は流し放題のまま、自然治癒にまかせるしかないのです。
トイレの度にあまりに叫ぶもので
夫が「何を騒いでおるのだ」と軽蔑の眼でみます。
「ケツがケツがケツが」と泣きますが、労ってはくれません。
そう、私達はアスペルガー症候群の夫婦。特に夫は感情的な寄り添い、共感ということは全く出来ない特性なのです。例えば、生理痛で痛いので腹をさすってくれとお願いしたら「手をおけば治るのなら、自分で置いていればいい」優しさが欲しいから撫でてくれというと「何分さすればいいのだ。5分たったサイナラ」というのです。
だからこの私の痔の術後の強烈な痛みを「痛いといっても痔だろう。それも完治したわけだから辛抱すれば良い」と言い放ちます。
何より、夫自身、昨年末からの精神的な抑うつ状態が続いていて
俺のこの落ち込みに比べ、たかが痔に何をおおげさな
という態度を隠そうとしません。
それがアスペの特性の一つなので悪意があるわけではないと知りつつ、ヤツの特性だと理解できるまで”カサンドラ症候群”関係の本を何冊読んだでしょうか。私もアスペなので、別種の精神的苦痛を夫に与えているので、お互い様っつうたらお互い様の似合いの夫婦ともいえます。いつもなら「労れよ」などと喧嘩するんですが。そんな余裕などありません。なにより一日中ケツとその痛みが心身から離れません。
私も根治手術が終われば全て終わったと思ってたんです。この排便ごとの痛みは二三日程度で終わるものと思ってましたが、毎日毎日、排便ごとに叫ぶのを辞めることが出来ません。それほどの苦痛なのです。
この10日というもの
「ケツがケツがケツがケツがケツがケツが」
口にするのはそれだけです。
排便時のウコが通る尻から火が吹くような痛みといったら…!!排便後も一日中尻が尋常ではないのです。
便所に行くのも怖い。メシを喰う=傷の塞がらない肛門をウンコが通る事態になるということを学習しためです。ウンコの元になると思えば食欲も出ません。2キロばかり痩せました。いつまでこれが続くのかと絶望してましたが…
本日約二週間目、ようやく排便時に叫ばなくなりました。
尻の痛みもやや治まりつつあります。結局応募した単発バイトはキャンセルせざるを得ませんでした。重いものを運びまくる仕事なので…。
医者の手術が間違っていたのか、と思い、調べまくりましたが、皆さん、痔の手術のあとはこんなもんらしいです。
【体験談】痔の手術する人、した人8例目【質問】 [無断転載禁止] [無断転載禁止]©2ch.net
なぜ医者が大量のロキソニンを最後に処方したのかようやく分かりました。
私はこの二週間でようやくマシになりました。長い人は数か月も肛門の痛みと排便の困難と闘うらしいです。だからやはりあのドクターは名医といっていい。
しかしなぜに彼はしばらく術後にこうなるのか説明してくれなかったのかと恨めしいです。患者が多すぎて、説明している暇がないのか、患者の皆さんもこれは自明のことと理解しているのでしょうか?
それともあまり後が痛い痛いと喧伝したら皆が根治治療をしなくなると避けているのでしょうか?穿ちすぎな感想ですが。。。。
何よりも、年末からの抑うつ感情は私に限っては吹き飛びました。何よりもケツが痛くてしょうがないのです。吉野源三郎さんなみの「人はなぜ生きるのか」
という哲学的な悲しみを抱えて抑うつ的になり、どうしようもなかったのですが、ケツの物理的な痛みの前でその命題は無力すぎます。
夫婦でこの数か月、人生における深刻な抑うつ状態になり、それに取り組んではいるのです。日々、無口な夫が感情をせっかく吐露してくれているのに、私はケツの痛みが気になりすぎて「それは大変だったね。でもケツが私のケツが」と返答しているのがこの10日でした。真摯に気持ちに寄り添えず、本当に申し訳なかった。
それでも各種レビューやスレのみなさんの感想は、一様にしばらくするとラクになり、痔と別れられて良かったとの感想を述べてらっしゃる。
私も朝のトイレで叫ばなくても良くなり、多少歯を食いしばる程度に直りました。まだまだ痛く、重いものを持ったり、あまりに歩くと辛いです。が、大きな健康的な便がスルっと出てくる快楽を味わえるようになって感動至極です。痔がなくなると、このようにトイレに長居しなくても良いのだなあ、と。そのうちジョギングにも行けるようになるでしょう。
もう少しの辛抱です。