更年期から墓場まで

子梨・更年期BBAの私見偏見吐露雑談ブログです。

定年が怖いあなたへ!小説『終わった人』内館牧子 ミッドナイトクライシスに効く?

 あの内館さんの定年小説!?

なぜイマドキの高齢の男性がああも切ないのか

と考えあぐね 想像し 時には立腹し(接客上で) 憐れみ 共感したこの一年でした。

そんな時ふと手に取って買ってみた、内館牧子さんの小説。内館さんは

ひらり 」や、「愛しすぎなくてよかった」などのドラマ原作で有名な小説家です。私の年代は愛読・親しんだ人が多かったのではないでしょうか。

定年後の男性を主人公にした小説を書かれヒットしているという。

さすがの人気脚本家の筆致です。面白かったです。

キャラがイキイキしています。

きっと近年ドラマ化されるでしょう。キャスティングも楽しみです。私は主人公を寺尾聡さん、奥様を高畑淳子さんのような感じで読みましたけど、他の方はいかがでしょうか。

笑いながら読みつつ、最後は泣いてしまいました…。主人公とその家族・友人たちに幸あれ、ガンバレ!と声をあげずにはいられません。

でもちょっと浮世ばなれ設定?

とはいえ主人公が東大出で、退職金がしっかり過ぎるほどあったり、奥様が同年代なのに、現役以上の技術を身に着け店を開いたりとか。少々(いやかなり)一般庶民にはかけ離れた設定です。

いいなあ、団塊のエリートさんは…主人公の葛藤は、贅沢な悩みなんじゃないの?とも思いました。

女は20代の頃からいつ結婚するか 仕事か家庭か 子供を産むか産まないか 兼業するか専業か 介護するか同居か など絶えず人生の岐路を決めることを余儀なくされてきた

この人と結婚したらどうなるか 地方に行くのか都会で暮らすのか 悔しいけど、この仕事はこれで終わり 子供が欲しいからこの道は一旦諦めようなどなど

自分とは何か そして自分は何を求めているのか そしてどれもこれも選べない ならばこれを捨ててこれを選ぼう という選択の繰り返しなのです。

今の若い子はもっとシビア。男女問わず生き方が多様になったとはいえ、今の年功序列の親父たちのような退職金どころか年金なんてロクに貰えない未来状況。若者が結婚しない車を買わない大会社や公務員ばかり目指すと年寄は批判するけど。

団塊のオジサンたちは、

60過ぎてお金たっぷりあって健康でジム通い。医療も年金もたっぷり。暇を持て余して自分探しして羨ましいでちゅね~なんて。

ちょっとそう思っちゃいましたよ。すいません。。。

オトコはつらいよ

最初は恵まれすぎたオッサンの悩みだな、と思いながら批判的な気持ちでいました。しかし、読みすすんでいくと温かい眼差しのこもった筆致で主人公に感情移入していきます。

ああ、そうか、男性は、仕事を失ったらこんな気持ちになるのか、アイディンティティを喪失して、迷うのか、

と分かりました。

男は、そう、特に小説の主人公のような団塊の男性は、女のように結婚によって仕事を失うとか、子育てによって生活がガラッと変わるから岐路に立たされる苦しさがない代わりに

何十年も辛抱して辛抱して仕事して、きっと辞めたくなることもあったろう 嫌な上司や同僚もいただろう 転勤を断れないとか もうこんな仕事つまんないから辞めて遠くに行きたいという日もあったろうに 家族を養うため家のローンを支払うため雨の日も風の日も満員電車に揺られ仕事をしてきて、今の日本を作ってきたのだった。

何十年 50年近い身体に沁みついた会社人生 突然終わりを迎え

もう社会にあなたの居場所はありませんよ 後は余生をゆっくりお過ごしくださいね

と突然言われても そう簡単には変われない。

余生だなんてとんでもない!昔とは違う。イマドキの60代は若者同然の健康状態。まだまだ元気いっぱい。寿命まで何十年もまだあるんだ。

好奇心も旺盛。性欲もある。まだまだ現役最前線でやれると思っているのに

運命のその日 退職の日はいやがおうにもやってきて 

ご苦労さまでした!と花束を渡され 若者たちに手をふられ 振り向いたら若者たちは一瞬にして自分のことを忘れビルの中で活躍

家に帰れば孫も妻もいるけれど、家族は今や自分の世界やコミュニティで過ごしていて、俺の入る隙間はない

一体どうしていいか分からない…

そりゃ辛いよなあ。。。

女が女としての役割のために色々なことを諦め若い時から取捨選択してきた。とっくの昔に自分探しを終えているのに、男はどうなのか。

男は男で、泣きごとが許されない仕事を気楽にやめられない厳しいジェンダリングのために、頑張らざるを得ない人生だったのだ。

自分を探すことも許されず年を取ってしまった、ということなんだ。

定年後に鬱にならないために

最近この介護についての記事を読んで感銘したんです。3本あって読むの大変なんですけど、ぜひ読んでほしい。ちょっと目から鱗でした。

www.minnanokaigo.com

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私の患者さんで、定年まで「つらい、つらい」と言いながら働き続けて、ある日「やっと定年だ、もう仕事なんかしたくない」と言っている人がしばらくするとうつになる人が多いのなんの。仕事をしていると、しんどいながらもやりがいや楽しいことがあるけれど、仕事を辞めた途端にやりがいがなくなって、病気になっていろんな医者にかかるようになる。それは、私から見たら、仕事を失ったことをきっかけに病気になっていくということ。

今日、待ち合わせ時間の前に公園を歩いていたんだけれど、私とそんなに年齢が変わらない人が、何となくブラブラ歩いているわけ。どっちのほうが不幸だと思いますか?例えば、生活保護をもらうのは仕方ないとしても、生活保護をもらって働かないというのは、ずるいことではなくて、ひょっとして人生ですごく大切なことを忘れているのかもしれない。

私、これ、すごく分かるんです。同じような話を聞きました。

昔勤めていた店で、店長が90歳近い方で。ステキなロマンスグレーなおじいさまです。

お子さんが遅くに出来たので、リタイヤできなくて店をやっている。その店は養育費や生活のため、やってきた。一般企業の定年を迎えた後で始めた店なのだと。

私はそこで一時バイトしたんですね。

「私と同時期に会社を定年した人達は、旅行だ美術館だスポーツだと仕事から解放され楽しんでいた。私はそんな悠々自適なんて出来なかった。まだ就職できない息子のためにこの店をはじめて、定年後の旅行どころではなく、資金繰りに汲々としていた。しかし、定年後の生活を謳歌していた友人たちは一年、二年とたつ内にあ!という間に鬱になり、呆けていった。本当に一様に。あれよあれよと皆寝たきりあるいは病気になっていった。私だけが未だに出勤して呆けることなく、働いている。足腰も頭もシャンとしている。皮肉なことだ」

と笑っておられました。

その話を聞いたとき、そんなバカな。定年後はゆっくりした方が養生した方が長生きできるでしょ?と思ってましたが、先日書いた生活不活発病の記事のように、

することのない人生ほど不安なものはない、そして悲しいものはないのだと思いしらされます。

高度成長期を仕事一筋に駆け抜けたオジサマたち男たちの迷いが詳細に描写されている小説『終わった人』。

ユーモアたっぷりな定年後の主人公の奮闘に微笑んだり、時には泣いたりして、一気に読ませます。そして、彼が最後に見出した約束の地は…

終わった人

終わった人