更年期から墓場まで

子梨・更年期BBAの私見偏見吐露雑談ブログです。

映画「後妻業の女」

高齢者向け?「後妻業の女」

夏休み中はお子様向けの映画が多かったので「後妻業の女」を見ることにしました。


「後妻業の女」予告

私、邦画が好きなんです。「秘密」は評判がイマイチだし、大竹しのぶの主演なら見応えあるでしょう。

しかし、見終わって少し後悔しました。いや、いい映画だったんですよ。キャストも大御所が多かったし。

観客席と映画のシンクロ性が高く苦しかったのでした。

その観客。ほとんどが70歳前後とおぼしき人々。彼らはマナーが悪いのだ。このカテゴリーに入りたくないとは思いましたが、若者からみたら私も彼ら老害さんと同じなのでしょう。

まさにTHE団塊

今や映画館の席は指定なのに、ゲートが空いたら、我さきに列を守らず入ろうとする。ぐいぐい押しのけて割り込んできます。最近の中国人観光客の方がマナーがいいですわ。かつての「いちご白書をもう一度」世代。大昔、昭和30年代の先着順で席を取り合う映画館だった気持ちが抜けないのです。いやそんなにして焦って入っても映画の席は変わらんでしょうが。。

そして案の定、となりのおば様方はワアワア上映中におしゃべりを始める。おっさんは発光させて携帯電話を見まくる。家から持ってきた唐揚げやオニギリをほおばる。

彼らは上映中マナーの告知なんて見ないです。ほんのり加齢臭のような匂いもしてきました。

いずれ私はそんな道じゃない

こうして団塊を貶める私に「いずれあなたもいく道なのに」などと言う人がいますが。いや私の老後はあなたたちと同じにはいかないでしょう。いけないでしょうね。

今ドイツは69歳定年制を打ち出しています。

blogos.com

私の老後はたぶん、今の団塊さん達のように暇と金を持て余すことはできないです。日本にはお金がない。

接客業の女性にまとわりついたりするような時間なんて一切ないでしょう。(まだまだ恨みに思ってます)

デモ行進「医療費を高齢者に負担させるな!全額無料にしろ!」と太鼓を叩いて昼間から騒いでいらっしゃいますが。

私の世代はそんな暇ない。75歳まで働き、たぶん、倒れたら数か月もせずにあの世いき。施設どころか病院に行く余裕もないと思います。死ぬ直前まで現役で働かざるをえないだろうと断言します。

また団塊老人憎しの文章になってしまいました。この一年、彼らに本当に苦しめられたので、すいませんね。

席を少し離れてみた

映画館、老人さんはマナー悪いですよ。いまどきの若者の方がほんとちゃんとしてます。

今回の「後妻業の女」の会場は、80%老人さんで占められている。なので、皆で渡れば怖くない的なムードになって、全員で傍若無人まるで老人ホームのような体をなす映画館。

しょうがないので、自分の席の指定からはずれ、彼らの声が耳に入らない遠いところに移り観ることにしました。それでも甲高いオバちゃん、おっさんの声が響いてました。補聴器でもしてるんでしょうかね。

大竹しのぶは素晴らしかった。

大阪を舞台にした映画なので、関西弁が飛び交い、実に下品で下世話な映画です。豊川悦司さんはもともと大阪の人なので、ネイティブな関西弁が素晴らしいです。

セックスシーンも多く、男性客は嬉しいことでしょう。

あの事件がベースにある映画

しかし、ストーリーのエゲつなさ…。

あの殺人事件の数々。デブの女性ブロガーや京都の毒を使った殺人犯。お金のある高齢男たちを殺していた所謂「後妻業」の女性たち。彼女たちが明らかにモデルとなっていた小説の映画化です。

次から次へと、男性高齢者が騙され、殺される。それをコメディタッチで描いています。

あの犯人たちは、お金欲しさに殺してましたが、

たぶん、現在は、殺さないけど、お金目当てに結婚する女性は多いのでしょう。

そして、男性は老後の看取りを目当てに…

観客の反応が男女違う

ふと、気が付きました。

観客のオバサマたちはゲラゲラ笑っていましたが、客席のおじいさま方はなんだか表情が暗い。。。

映画の騙される側の男たちと同立場同年齢の男性高齢者たち。ひょっとして、彼らはドリームを期待していたのかもしれないなあ、と。

高齢男性をだまし、殺してお金をだましとる悪辣な後妻業のオンナが、その周辺の悪人たちが、糾弾されひどい目にあい、反省するというラストを。

しかし、そんなことは一切なかった。

映画のラストは、ネタバレになりますが、悪人たちは反省なんてしない。胸のすく勧善懲悪ではありませんでした。

どいつもこいつも悪人でいじましく欲深くいやらしい。優しい人利他的な人など一切いない。唯一、娘たちの長女が世間知らずの穏やかな専業主婦といった体なくらいです。

色んな見苦しい老人を素晴らしい俳優が演じていました。

主人公は、あの大竹しのぶなんだから、強くて美しいなんとも魅力的な犯人になるにきまっています。

お婆さんの観客は受けてゲラゲラ笑っていました。

痛快なんでしょうな。

私は娘だから笑えない

私はラスト、笑えませんでした。私は、映画の娘たちと同じ立場なのです。

唯一、騙された老人たちを擁護するような台詞があった。

高齢男性たちが騙されるのは、彼らの娘たちが父親を寂しがらせたからだという、結論だった。

津川雅彦が演じていた、後妻業の女に騙された老人。彼は大竹演じる後妻業の女と暮らすまでは、いわゆる高齢者ストーカーになり、接客業の女に付きまとっていた。ボケて窓から女の名前を叫んでいたりした。

娘は映画のラストでつぶやきます。

あの人(後妻)が羨ましい気がするの。私は、ずっと受け身でいたから。。私、お父さんがあの人と再婚してくれてホッとしたのよね。だけど、私たちがお父さんを寂しがらせなければ、こんなことにならなかったかもしれない。

そんなバカな!息子はどうした!

なぜ娘が団塊の老人の暴走の責任を取らなくてはいけないのだ。

寂しかったら何してもいいの?騙されたのは娘たちが「ケア」しなかったからだって?そんな!

映画の娘たちは、たぶん、それぞれの仕事や家庭で精一杯だ。

遺産に執着する娘たちのあり方は問題だけど。

そこまで娘が女がそこまでなんでも責任もたなくちゃいけないのよ。息子が女に乱暴したら母が謝り糾弾され、父親が死んだらその心の暴走の責任を娘が痛恨するなんて。

いいかげんにしてよ!男の失敗は母や妻や娘のせいじゃないよ!本人のせいだよ!

どうして彼らは騙される

まさか父親がそんなにバカだとは分からないし、なんで分からなきゃいけないのよ。

まさか縁も縁もない年下の女性が老いた自分を「ケアして看取りたい」という理由で愛すると信じ込むなんて。

あきらかに金めあてなのに、なんで騙されるの?と女性は娘たちは不思議に思うはずです。

そんなおバカな男性老人たちが実際にいるなんて、見抜けないなんて。自分の父親がそんなバカだなんて。

単に色ボケしてるだけじゃないですか。

その騙されの心の責任が娘にあるんですか。あれもこれも若者に女に負わせないでほしい。

その結論だけはひどいと思います。

娘が「ケア」しなかったせいで騙されたの?

それが「寂し」さのせい。彼の娘たちが「寂し」がらせたせいだなんて。なんで娘たちにそのラストの救いの責を負わせるかな。

…老人自身のせいでしょうが。騙される側が甘えていて価値観が古いから、じゃないですか。その結論にしちゃったら救いようがなくて、高齢者の観客が怒るから?

女性に娘たちに「性とケア」しか求めてない今の男性高齢者の感覚がおかしいから。だから騙されてるんじゃないですか。

自業自得の男たち

観客の高齢者たち。

彼らの奥様世代は、ほんのりそれを分かっていて、乾いた笑いを観客席で響かせていた。男たちは蒼白で無言で映画館を出ていた。

団塊の女性たち。ねじれの女性たち。学生時代に男女平等の教育を受けたのに、現実は専業主婦をせざるを得なかったルサンチマンの強い女性たち。悪女の大竹しのぶの行動のひとつひとつを笑っていた。

対するご主人様や、一人で見ていた男性たちの顔色は暗い。ショックだったのでしょうか。

心の片隅で信じていたのかもしれない、彼らは。天使のような美しい若い女性が突然現れ、愛情やケアをふんだんに注ぎ、自分の下の世話をして看取ってくれるドリームを。

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我が両親は病んだ団塊です

私の両親は、早いうちに不仲になり母が父の世話を放棄し、母は陰湿な苛めと無視を父に対して何十年も行っていた。父は気が変になって、本来なら妻に求める称賛や愛着、精神的ケアを娘たちに激しく求めていた。明らかに「オンナのケア」を娘たちに求めていた。10代や20代の私に。浮気でもしてくれたらどんなに楽だったろう。どんなに恐怖だったか。そして父の味方を少しでもしたら母は鬼のように娘いじめをした。父の不倫相手をいじめるように娘たちを虐待した。私は10代で家を出ることにした。そう、私はケアを得られなかった子供だった。

我が実家は家じゃない、地獄だった。愛情飢餓のようになって父は60歳で癌で死んだ。最後に世間体のために最後の一か月父の世話をし看取った母は、夫がみんな悪いのよ!と悲劇の主人公のように振る舞った。何かのギャグのようだった。親たちは二人とも精神的なケアを娘たちに求めていた。本来なら夫婦で満たし合うべき愛情補完を子供たちに求めていたのだ。今も求めている。今度は愛情飢餓に陥った母が娘たちに依存したりマウントしたりしてまわって今に至る。彼女は満たされることはない。しかし彼女は弟である息子にはそれを絶対しないのです。

娘は女はケアする運命なのか

だから私は、今も実家を考えると胸が苦しくなる。

は親をケアするものよね?寂しがらせないわよね?育ててあげたんだからね?そうでしょう?

その状況と現実、それを全て思い出して、少し映画の最後は吐き気がしました。観るんじゃなかった。。

木嶋佳苗が悪女なのに、どこかしら胸のすくような気持ち良さがあり、ファンが多いのも「ケアする性」としての女性”性”の復讐を彼女が代替してくれたような気がするからでしょうか。佳苗は実際はパラノイアの殺人鬼なんでしょうが。香苗はブログ上でセレブな美しいヒロインの物語を綴っていました。

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記 (講談社文庫)

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妻でも母でも娘としても、女はケアする性の運命から逃れられない。逃れるには復讐するにはこうして騙して金を巻き上げ殺すしかないのか。

その幻想がこの小説映画に込められているから

女性客は笑い、男性客は笑わないのだ。

これからは違う

今や三世代同居はなくなり、独居男性が増えました。なのに、女性=俺たちをケアする存在と信じて疑わない団塊以上の男性たち。

孤独に耐性のない人々。

孤独死がこわいですか?そんなに女に看取られたいですか?娘に嫁に下の世話をさせたいですか?

母や妻や娘に嫁にケアされなかったら暮らしていけない感覚の世代。なのに、時代の過渡期で今や、孤独を強いられて、それに耐えられない。だから騙されるのです。

でもこれからは違います。今は、男性も介護や子育てを担わざるを得ない。国の財政はひっ迫して、少子高齢化。圧倒的に「ケア」する人々が足りないのです。

「ケア」する側の人々が足りないなら諦めるしかないですよ。私の世代の老後はもう、生きてるだけで儲けもんでしょう。「ケア」なんてとてもとても。

(※女の子を産みたがる昨今の風潮は、老後の世話を女の子=娘に託せるからという理由があると聞きましたがそうなんですか?)

嫁が娘が妻が介護すべきだ!なんて今でも声高に叫ぶ人もいるでしょう。しかし、もうお金もない、子供が少ない、老人が人口の1/4(私たちの老後は半分以上になるだろう)働き手も少ない日本で、そんなことは言ってられない状況です。

男性の介護者も増えました。家族を「ケア」し自分で自分を「ケア」することが出来るようになったこれからの男性。きっと彼らは騙されないでしょう。ケアをチラつかせ、お金をだまし取る後妻業の女なんて簡単に見抜くことができるようになるに違いないです。

女性なんて本来ずるいもの、誰に対してもケアしたい性、聖女じゃない、と分かってきたんでしょう。そういう現実に気が付いた人が多いからこそ今や結婚しない男が増えたんでしょう。それはそれで日本の未来はますますヤバそうですが。

女が誰かをケアするのは「ケアするのが好きな性」だからじゃなくて、自分の子供のため、愛している家族やパートナーのためでしかないです。ちゃんと絆ができていたらお互い(男性だけがケアされる老後じゃなく)ケアできる未来があるはずです。

後妻業 (文春文庫)

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