更年期から墓場まで

子梨・更年期BBAの私見偏見吐露雑談ブログです。

海外で勉強して活躍する意味とは~「私の夫はマサイ戦士」を読む

グローバル人材くそくらえ

世の中グローバル人材が必要だと言われて久しいですが、私は、胡散臭いと思っています(何にでも胡散臭いと言ってスイマセン)

私の世代、バブル世代からでしょうか?若者、特に女性が、海外旅行に頻繁に行くようになったのは。

外国に行くことがステイタスで、かっこいい時代。世界遺産見た、外国人のボーイフレンドができた、ブランド品買った、美術館で本物を見た。うんすごいね。そういうのは、モラトリアムで、大学生のうちにやればいいかな。若いうちにどんどん外国を見て体験することはいいことだ。

世界には色々な人がいて、様々な考え方の人がいて、そういう人とコミュニケーションを取れるスキルを身につけよう。

そういう人材はこれからの日本、必要だろう。しかしバックパッカーすりゃええもんじゃない、それで成長できた、人格的に凄くなったと過剰に思いこむのは間違いだ。人が成長しうるのは、他人と違う変わった体験をしたためではなく、日々鍛錬と練習と工夫を繰り返す以外にありえない。

●世界各国を旅してきてヒッピーみたいにあちこち行って自称(?)アーティストで世界中に友達がいっぱいいる人と

●日本から一歩も出たことないけど、大学なりとで勉強をして、本、特に古典を読んでいて、技術があって職人でって

私は、後者の人が断然好きなのである。

中途半端な留学はバカ製造機である

かつて留学や海外帰りの人が興奮して話すに

「日本はせまいね!君も外国に行って世界を見なくっちゃ!へえ?本物の万里の長城見たことないなんて笑える~世界に通用する人間になれないよw」

などという。留学ハイなのね。数週間くらい写真を友人連中に見せては自慢して、そのうち落ち着いてシュン、となるのは分かっているが、まあ、イラッとするわなw

どのくらい語学が身についたのか聞いたら全然しゃべれないし読めないという。何年も親の金で滞在して、遊んで買い物、セックスとクスリやっただけで、いっぱしになったような気がしているだけか。公費留学がっつり大学系を除いて、ほとんどの留学生は語学学校のカモになっちゃってる。で、就職できない日本はひどい国だと言う。

私は、今まで行ったのは、新婚旅行のグアムと友達と行った台湾と、中東少しだけなので、同世代に比べてまったく世界を見聞していません。だからまあ、僻んでるといっちゃ僻んでるよw私は20代~30代極貧だったもん。

美術史やってたから、そりゃ、いつかレンブラントやマチスの現物が見れたらいいなあ、と思うけど。海外行かなくてもいいんじゃないかな?日本にしょっちゅう来てるしなあ。建築やってる人は、持ってくるわけにはいかないので海外行って見たほうがいいでしょうな。

京都で見た海外の人たち

京都に長い間暮らしていて、実感として見ている。

外国の人がいっぱい来てるけど、白人のバックパッカーにいわゆる「ちんぴら」が多い。ちゃんとした人も確かにいますが、本国で喰いつめてこっちに来て住み着いたんだな~という風情の人々がいる。彼らは傲慢で日本を格下のように扱い、礼儀をわきまえない。金髪の若造が禅寺で大騒ぎする。キリスト教的な価値観(自分たちだけが正しい)で他国の宗教を尊重しないのだ。もちろん、白人をちやほやする日本人の態度にも問題があるのですが…

我々日本人も海外でそんな風に見られていないか、本気で心配した方がいい。

一方、途上国の人々、アフリカ系やアジアの公費留学の人たちは、明らかに、ああ、これはエリートだ、日本人がたちうちできない及びもつかない勉強量と品格がある。その姿をかつての日本、幕末や明治の志士に重ねてしまう。貧しいこと途上の国家であることは恥ずかしいことでないのだ。

あと、危ないよ、やっぱ外国

それと、あんまり頻繁に気楽に海外に行くべきではない、と私が思っている理由のひとつに

危ない

というのがある。

ゴールデンウィーク中、多くの中高年が山で遭難していた。テレビを見る人は口ぐちに言うだろう。「どうして、そんな軽装でそんな天気の日に山に登ったのだ」と。遭難した人は素人も多いが、山岳会などのプロの登山家も多い。用心を重ねて準備しただろう、でもそんな人でも遭難して、死んでしまうことが多いのだ。

何が起こるか分からないのが雪山である。その覚悟(命を落とすかもしれない)と隣合わせなのだ。だから、やはり、事故にあってしまうのは、辛いし残念だが、しょうがないこればかりはと、みな腹に決めて山に登っているのだろう。

海外旅行も同様だと思う。

最近の情勢は危ない。隣国はひどく日本人を敵視しているし、イスラムもテロの危険が頻繁にある。日本人に好意的なトルコですら女子学生が犯罪にあってしまった。またタクシーの乗り方を間違えた新婚カップルがひどい殺され方をしてしまった。特に女性はレイプの危険がある。

海外旅行は危険な場合がある

日本にはない異国文化、風習を知るのは大変結構だが、犯罪被害者になってしまったら、元も子もない。

被害にあうかあわないかは、本当に運だと思う。気を付けていれば、用心していればというが、被害にあった人が格別油断して調子に乗っていたという訳ではないだろう。

本を読んでガイドにも聞いて、ある程度気を付けてるんじゃないか。でも、ふと強盗にあう、強姦される。旅人の自己責任に帰するには、あまりにも悲惨で残酷だ。

日本は本当に安全な国だ。夜に街を散歩できる。アイスが食べたくなったら、コンビニにいくらでも買いに行ける。銃もない。災害にあっても暴動も起きない。水道水を飲んでもお腹をくださないし、清潔な街角。感染症の危険もない。

そういうのに慣れていて、海外にひょいっと気楽に出て行って、その感覚で、痛い目にあう。パスポートを盗まれるくらいなら運がいい。それで対処方をなんとか自力で身につけて、鍛えられて旅の達人になるのが理想なのだと思う。しかし、過程で運悪く、痛い目にあいすぎることだってある。それがグローバル人材にとって必要な通過儀礼というなら、私は、この年だし、もういい。内向きの日本人でいいよ、と思う。

よほどの旅のプロでない限り、やはり今の時代は用心しながら行ったほうがいいように思うのだ。

旅のプロはそれをくぐり抜けてプロになった

しかし、危険とわかっていても山に登る人がいるように

海外の未知の世界に船出して、羽ばたいてしまう人達がいる。彼ら彼女らは、大好きなのだ、世界中に旅するのが。それはまさしく才能で、それを仕事にしている人は、その才能に加え勉強して旅して勉強して旅して、野球選手になるために練習を重ねたように、旅の達人になられたんだなあ。

そういう旅のプロ達がいるおかげで、私のようなアホアホ旅行者も無事に行って帰ってこられるのだと思う。

そういう方々への報酬が減らされるべきではないし、正当な対価と安定的な雇用は守られるべきである。

ケニアの女性添乗員

この 永松真紀さんの「私の夫はマサイ戦士」というのを読んで、唸ってしまった。

帯の宣伝がすごい。

電気ナシ!水道ナシ!結納金は牛4頭 私が「第二夫人」になったのには理由があった

なにそれ?めっちゃ知りたい。アフリカの第二夫人?デ●夫人ではなくて?マサイ族?あの、ウルルンで出ていた?裸で狩りや戦闘して、ド派手な装飾品で、あの、いかにもアフリカ!という感じのあの部族に?お嫁さん?日本人が!

題名のとおり、アフリカのマサイ族に嫁いでしまった日本人女性の手記。彼女はケニア、アフリカの旅の達人・フリーの添乗員(ツアーコンダクター)である。

女子が憧れる、フランス、イギリス、ヨーロッパではないのだ。

ケニア、ケニアである。

破天荒・波乱万丈、恋と冒険。あまりにも面白く、一気に読んでしまいました。

ケニア。単なる留学ごっこなど出来るわけない。トラブルと波乱しかないだろう。命の危険にさらされるような状況も何度もあるだろう。豹やライオンが襲ってくるのだろうか。もちろんライオンも登場する。詳しくは、本に出ているので、ご覧あれ。

単に外国に行ってしまった女性の話ではない

彼女と私は同世代である。バブル期の海外旅行・留学ブーム。最初は、単に海外好きの女性の一人なのかな?と思って読み進めていた。しかし、何があってもヘコたれず、ひるむことなく、どんどん広い世界に飛び出してそのまま、行ってしまった。「海外に出て見聞を広める」なんて、簡単に言いますが、こうも身体を張って、強く、感情豊かに、そして、いきいきと暮らしている。

最近はバラエティ番組で、世界に嫁いだ日本人女性がよく紹介されています。が、この本はちょっと違う。

素晴らしいな、すごいなと思うのは

彼女が仕事をしていて(フリーのツアーコンダクター)それでいて、アフリカの原住民(?)の中の原住民、マサイ族の奥さんもやっちゃってるとこである。

大抵、海外に嫁いだら、その国の風習に従ってその国の奥さんそのものになっているのに

永松さんは、仕事が大好きで、辞めないことを条件に嫁いだというのである。(そんなことが可能なの?!)そして、その立ち位置を大事にしながら、ケニアと日本の未来を見据えて、活動している。

旦那さんが素晴らしい

何より、感動したのは、マサイ族の旦那さん、ジャクソンさんである。ものすごく魅力的なのだ。

あの、マサイだから、もちろん、鋼のような肉体美、ライオンをも倒す闘争心があり、男性としての魅力は存分にある。(ジャニーズ顔負けのイケメンばかり)が、何よりも、その誠実な人柄が素晴らしいのである。

永松さんは、ジャクソンさんに嫁ぐ前に一回結婚していた。しかし、お互い「信頼できる夫婦関係」というのをはじめて体験しているという。

たいてい、アフリカ系をはじめ、途上国の男性が日本人の女性とつきあうとき、そこには、金銭的な下心がある。先進国のパートナーを貧困から抜け出す手段として利用する人が多い。永松さんはそういったことにも傷ついてきた。

しかし、マサイ族のジャクソンさんは、まったくもって外国に媚びる性格でない。マサイ族としての自分の文化、出生に誇りを持っているのだ。

日本のこみいった生きづら~い人生観をもバッサバッサ切る、「ジャクソンさん名言」が作中でも沢山登場し、目が醒める。シンプルで明快な生き方。人生に悩む人も読んでみはるといいと思います。禅問答のような痛快さがあります。

嘘も偽りも疑いも劣等感や優越感、悪意もそこにはない。

それはすごいことだ。日本でも、最初に性的に惹かれあう男女は沢山いても「信頼」が強固である関係は少ないかもしれない。浮気をするかも、金銭的にどうだの、家事をしてくれるか介護はどうだ、自分を傷つけるか裏切らないか。しかし、この人なら大丈夫、どんな状況にあっても二人で乗り越えていけるという「信頼」があればそういうパワーゲームとは無縁ということだ

「信頼」と「尊敬」がある男女関係こそ理想である。

マサイ族の旦那さん、そのジャクソンさんはまさしく、信頼に値するのである。

一夫多妻制のマサイ

マサイは一夫多妻制で、永松さんは第二夫人である。いくら旦那さんがステキで人柄がよくても、第二夫人、というのはどうなのか。そこに「信頼」というのがあるのはどういうわけか。

妻が沢山いるなんて!人権侵害よっ男女差別よ!とフェミニストがキ~ッと喚きそうだ。(もちろんマサイには、さらにフェミの非難の対象である女子割礼もある)

日本でいえば、愛人?お妾さん?と思われがちだが、読んでみると、そういうものではない。レッキとした妻、なのである。イスラムの一夫多妻もそうですが、全ての妻を公平に扱わないといけないというルールがあるのだ。実態としては、二人目の妻でも、経済的にも性的にも公平に扱われ、尊重されるのだ。

なので、男性の負担は大きいので、実際は2人以上の妻を持つ人は少ないという。

また、マサイ族の性的なあり方、セックスについても、手記には載っており、こんなあからさまに書いてもいいのかと思うのですが、

読んでるこちらもそこは気になるので、とても興味深く読みました。現在の欧米的な男女観では考えつかないエピソードが多く、へ~!と頷いてしまった。

一夫多妻は悪か?少子化対策にいかがかね

日本でも少子化が問題で、男性の年収が上がるわけでもなく、外国人の移住もいやだ、なのに専業主婦になりたい人が多いなら、一夫多妻がいいのではないかと一瞬思ってしまいました。

実際現実には、無理でしょうが。私はもちろん自分のお金が欲しいし、夫は独り占めしたいから、第二夫人はご免かなあ。

しかし、本人同士が納得して、見苦しい争いがないシステムに出来るなら、ええんじゃないのか、一夫多妻制。

恋に仕事に全力投球している日本人女性の半生

とか思いつつ、このアフリカの誇りを体現したような男性、ジャクソンさんの第二夫人なら私も…(ハート)となってしまうかなあ。

彼と結婚生活を営めるのは、もちろん、永松さんの人柄のせいだろう。異文化に対し誠実に尊敬をもって接することのできる、自立した精神と行動力のせいであろう。

なんとお似合いの国際カップル!

永松さんは、ツアコンをしながら自立し、マサイの奥さんもして、マサイの文化を守り日本に伝える活動をされている。

彼女が海外にいるからエライ、素晴らしいのではない。

永松さんの情熱的な行動力に惹かれるのだ。日本にいても、思い切った生き方をなさるだろう。

「ありのままに~♪」と巷では歌が流れているが、まさしく、この本の手記のようなことなのだ。ありのままならなんでもよいわけではない。30過ぎてもありのままとか言ってたらバカじゃねえかと。自分の行動や人生に責任を持つこと、情熱を持続させて他者を説得していくこと、人を愛すること。「自律」が必要だ。それが「ありのまま」ということだ。

彼女の思い切りのいい生き方には、自分の人生を自分で引き受けて切り開こうとする、強さがある。

読みながら、彼女の恋に、海外での仕事にハラハラドキドキして、共感して泣いたり笑ったり。自分もサバンナの自然で、もうひとつの人生を一緒に走っているかのような気持ちになりました。

私達と同じように恋に仕事に家庭に人間関係に悩み、しかし諦めないで未来を切り開いて、泥まみれになりながら、自分の足で立っている。

その姿に共感し、憧れるのだった。

私の夫はマサイ戦士 (新潮文庫)