更年期から墓場まで

子梨・更年期BBAの私見偏見吐露雑談ブログです。

「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー

電車で妙なシリトリをしている二人と同席した。あのJRの4席のシートの前に座らはったのよ。

「ジミー・カーター」「た…高橋是清」「よ…ヨウ素」「そ…宗阿弥」「み…

どうやらカタカナ?と漢字を繰り返すとかいうルールでやっているらしい。カバンに「●●高」と書いてあり、制服を着ていた。なので、彼らは高校生らしい。えらい老け顔で礼儀正しく落ち着いていた。制服を着ていなければオッさんのようだ。。あとで、聞くと「あれは有名な進学校だよ」ということだった。

斜め後ろの席の茶髪の女子高生は足を広げながらポテトチップスを食べかつ化粧をしつつ携帯ゲームしつついつヤルかヤラないか、という会話でギャハギャハ盛り上がっている。生物としては、私はその女子高生の方に親近感がわく。かたや偏差値70だかの目の前の男子2人が目の前で延々繰り広げる、化学の何か?と歴史人物のシリトリ。聞いていると自分の勉強嫌いの学生時代のトラウマが蘇り、席を移動したくなった。彼らは試験のためというより、嬉々として、そのシリトリをしていた。飽きないようだった。

私は知らなんだが、めっちゃ偏差値の高い高校なんですか?

開成高校というのは何百人も東大いかはるという。なんじゃそりゃ。想像つかへん。その開成高校の野球部に密着取材したルポ。受験と運動部を両立させるハウツウ本とか?と思い数ページめくると

(゜ε゜ )ブッ!鼻からなんか出てきたわ。抱腹絶倒。まあ、読んでみてくだされ。

野球をはじめ、スポーツ、運動部、体育会系というのは

努力、根性、友情、涙、上下関係、同調、成長、仲間、協力、無心で身体を動かす、反射神経、勝者、…

というキーワードがある。それこそが運動部の長所であるはずだ。オリンピックやスポーツマンガで感動するのも、それがあるからだ。しかし…この本には、それら体育会のキラメキがない…。なので、何の本を読んでいるのか途中でわからなくなった。スポーツノンフィクションじゃなく、なにか、宇宙人の集まりのような。

―― 守備の練習をされたんですか? 私がたずねると監督がうなずく。 「ノック練習をしていて、虚しくなったんです。疲れるのは打つほうばかりで効率も悪いですからね。いくら打っても捕れない。捕る前に打球に対してやることがあるだろうと思いまして、理屈で教えることにしたんです」 ―― 理屈で? 「他のチームなら自然に身につくことでも、ウチは全部理屈で教えなきゃいけませんから」 ―― どういう理屈なんですか? 「球を捕るという行為にはふたつの局面があるということです。ひとつは球を追いかける局面。捕りやすい所に自分が移動するという局面です。そして、そこでいつまでも追いかけていくんじゃなくて、今度は球を捕る局面です」 考えてみれば当たり前のことだが、監督が解説すると高度なテクニックのように聞こえる。

今まで我々が知っていた世界とはまったく違う。別種のなにか。違う切り口の「野球」がそこにある。「やきゅう」という何か化学式やら数学の定義を見せられているようだ。

つまり、頭でっかちで、身体がついていってないんだな。それを一般的な社会で人は「弱い」と定義する。

そう、開成高校は弱い!その弱さが新鮮で瑞々しい。なのに勝っちゃう(ときもある!)というのがミラクル。開成高校の野球部員と監督さんの理屈を聞いていると、長嶋さんやらイチローの野球理論の域に達しているような摩訶不思議な印象さえ覚える。

スポ根的な盛り上がりはないが、不思議な淡々とした感動が押し寄せる。

「バットを持つこと、走ること、足や手を動かすという事自体が人間にしか出来ないことだ。一挙一動がすごいなあ。」などと感想にもならん感想で最後のページまで一気に読んだ。

「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー