更年期から墓場まで

子梨・更年期BBAの私見偏見吐露雑談ブログです。

映画「北のカナリアたち」

極寒、白い世界。運命的なヴァイオリンの音色。身ぶるいするほど、静謐な雪国。

まるでその風景のように、純白な美のマドンナ、吉永小百合。

北のカナリアたち

以下ネタバレ▼

あなたへ」が高倉健の圧倒的存在感による映画なら、これは、吉永小百合のための映画である。会場にはサユリストと思われるおじさま、おばさま。

しかし、上映中に席を立つ人もいた!一方感極まって慟哭する人もあり。評価の分かれる映画なのかもしれません。

「暗かったね」

「映画館は暗いよ~」

「そうじゃなくて~」

という感想が聞こえてきたよw

吉永小百合はすごい。彼女の実年齢を忘れて、見とれてしまった。以前「北の零年」で相手役、豊川悦二との自然な恋(あ、これも北海道が舞台だった)。今回もはるか年下であろう中村トオルとのラヴ・シーン!も全く遜色なかった。美貌もそうですが、演技力が素晴らしいのでしょうね。

とはいえ、小百合の美しさの特徴は、マドンナ、聖母的なところにある。何もかも包み込むような優しさ。母性愛、その輝きが強すぎ、物語としては女の業のようなものを描いているのに伝わってこない。不倫関係もあるのに性的なオドロオドロしいものが一切排除されている。

人を本当に好きになるってそういうもの

というセリフがあります。その激しい感じはあんまり感じられなかった。サユリは純白でなければならない、清らかでなくてはいけない、というムードが全面に。しょうがないよね。銀幕の小百合は守られるべきだ。

彼女の役割は教師なだけあり、ひたすら、愛し、守る。慈しむ。

ところで、私は「かわいそう」な関係が苦手です。母性本能や共感の能力が乏しいこともありますが…。はるか昔の20代!恋愛で失敗したことがある。こじれた相手が騒ぎ関心を惹こうとした。きりがなくてヘトヘトになった。(この年になったら虚実の程度が少しは分かるのですが…)当時、私も”不幸な”相手にのめり込むような所があった。それがいけなかった。ドラマチックな「非日常」「非常時」な関係に憧れることってありますよね。しかし「非日常」な繋がりだけではダメだ。”つり橋効果”といいますが、その時だけの関係、季節ものである場合も多いのではないでしょうか。「非常時」の最中だとしても、そういう事を置いといても私にも何かしら気が合うと思ってもらえるような、意気投合というか魅力がなくては人間関係長続きせんな、してもらえんな、と思います。

と、つまらん閑話休題でした。

吉永小百合演じる「はる」はより可哀そうな相手に惹かれているように見える。そのせいか、途中から感情移入しずらかった。彼女を取り巻くのは、なんかしら可哀そうで不幸な男性たちなんですね。強い母性でもって彼らに尽くす。途中で、不倫相手中村トオルがより可哀そうな感じになってしまい「はる」は闘病中の夫:柴田恭平をほっといて、会いにいっちゃうわけです。そのせいで、悲しい事件が起き、人々の運命が狂いだすのですが…。

中村トオルは「海猫」という映画で、伊東美咲との不倫関係だった。(同じく人妻に横恋慕する役)これがまた海辺の極寒が舞台で危うげな男前っぷり。白い雪を背景に、人妻がうっかり走る相手としては、これ以上の適役はいまい。

柴田恭平演じる夫役。大学教授で、知的、優しい。理想の夫。不治の病と闘っている。が、辛いところを妻に見せない。もうすごいメチャクチャ葛藤があるんですよ。そうです、そうです。人は、そんなにカッコよく生きれない。ドロドロで見苦しい、黒い部分ばっかだ。その演技が素晴らしい。しかし、命がけで子供たちを守り、妻の不倫相手である中村トオルにも優しさを見せる。嫉妬で、車に飛び込みそうになり気を惹こうとする中村トオルの役よりずっといい男に思えます。

こんな二人の男の間で揺れ動く「はる」。どちらをより愛しているのか判明しません。マドンナだから、両方とも、見捨てられない。皆を愛しているのです。しかし…結局、小百合が一番愛しているのは、教え子ではないかと思った…。逃亡している元教え子、森山 未來(もりやま みらい)。特に恋愛関係にはなりませんがね。オッサン二人がこりゃ負けるよな、というほど魅力的。母性・聖母たる立場だったら、やっぱ、真正、子供、教え子に一番心を奪われるよね。

北のカナリアたち